特別掲載Vol.3
LEVIʼS®
MONTHLY
MUSICIAN
LEVIʼS®MONTHLY
MUSICIAN
collaborated with SWITCH
山崎まさよしYAMAZAKI MASAYOSHI
音楽と真摯に向き合うために
2020年にデビュー25周年を迎えたシンガーソングライター・山崎まさよし。長いキャリアを重ね、50歳となった彼が考える表現者としての在り方。
1873年5月20日―― すべてのジーンズのオリジン(原点)であるLevi’s® 501®が誕生したその日からまもなく150年を迎えようとしている。その記念すべき2023年に向け、自身の確固たる“スタイル”を持ち作品を生み出し続けているミュージシャンをフィーチャーした特別連載。
定着したイメージ
「僕は十代の頃からジーンズが好きで穿いていたわけではなく、先輩や従兄など上の世代の人たちがデニムにハマっていて、彼らから教えてもらい少しずつ興味を持つようになったという感じでした。リーバイス®の501®などが世の中で注目を集めるようになったのは、僕が上京した後、二十歳ぐらいの頃からだったと思います」山崎まさよしは、一九九五年のメジャーデビュー当時からジーンズをよく穿いており、そのスタイルはいつしか彼のパブリックイメージとなっていった。しかし、そうしたイメージは自らのファッションに対する趣味嗜好が反映されたものではなかったという。「ミュージシャンがデビューするとなると、スタイリストさんが付いてプロデューサーたちとどんなビジュアルで打ち出していくか考えていくことがあると思うんです。でも僕の場合は、所属事務所オフィスオーガスタの社長だった森川(欣信)さんから『俺が昔穿いていたデニム貸してやるよ』と言われて貸してもらったものを着ることが多かったんです。その結果、ユーズドのジーンズにアロハシャツやTシャツ、アウターはMA-1みたいなカジュアルなスタイリングが多くなり、気づいた時にはそういう服装でギターを持って歌う人というイメージが定着していった。だから世の中の多くの人が僕に対して“デニムの人”という印象を持っていると思います。残念ながらベスト・ジーニスト賞はまだ一度もいただいたことがないんですけど(笑)。最初は成り行きでジーンズをよく穿くようになったわけですけど、今ではほぼ毎日ジーンズを穿いています。大好きなギターのようにビンテージものに拘っているわけではないですけど、元々作業着として作られたジーンズは丈夫だし、穿いていて楽なので飽きないですね」
二十五年の節目に感じること
二〇二〇年にデビュー二十五周年を迎えた山崎は、昨年九月、自らが作詞・作曲・編曲・演奏・歌唱をする“プライベート・アルバム”シリーズの三作目となる『STEREO 3』を二十四年ぶりに制作し、さらには全キャリアの中から自身がセレクトした楽曲の歌詞をまとめた『詩 山崎まさよし』という詩集を発表した。「二十五周年を迎えた時にまず思ったのは、倍にしたら五十周年、半世紀になるけど、そこまでやり続けるのか?ということでしたね。音楽制作はどんなペースであれ続けられるだろうけど、ライブに関しては二十代、三十代の頃のように一年に百本近くのライブをやるのは精神的にも肉体的にもなかなか厳しくなるだろうなと。そんなことを考えながら作っていったのが『STEREO 3』と詩集だったわけですけど、アルバムに関しては今現在の自分にできること、やりたいことを全て詰め込んだもので、詩集は手に取ってくれた方々が昔のことも振り返りながらとにかく楽しんでもらえたらという気持ちで作ったもの。自分の中ではそういう位置付けですね」
そんな山崎に、二十五年というキャリアを通して変わることのない「STYLE OF ORIGIN」を訊ねた。「ライブと音楽作りとでは大切にしていることが違います。まずライブに関してはやっぱり“スキル”がものを言うと思います。歌が下手くそやったらあかんし、ミスをしてもダメ。だから常に完璧を目指してリハーサルや練習をしっかりやる必要がある。一方、音楽づくりで重要なのは“リラックス”すること。ヒット曲を作ろう、みんなを驚かせてやろうと考え過ぎると良い曲は出来ないんですよね。そういう欲は捨てて、煮詰まったなと思ったら一旦寝るなり、誰かに頼ってみるなり、D I Yをしてみたり、とにかく気分転換をする。そうすると良いものが生まれてくることが多い。今話したことは昔から意識的に大切にしている自分のスタイルと言えるかもしれないです。でも、やっぱりもう五十歳ですから、体力はどうしたって落ちてきている。特にライブは目の前にいるお客さんと向き合い、音楽を通して対話する場であり、ミュージシャンの真骨頂でもあるわけなので、自分の年齢や体力に応じた新しいやり方を考えていかなくちゃいけないなと最近すごく考えています。若い頃は朝まで飲んでそのままライブに臨んでもなんとかなったけど、今は違いますから。それこそあと二十五年、五十周年までやるつもりなら尚更ですよね。とはいえ、そんなに力むことなく、まずは三十周年をひとつの目標にマイペースでやっていこうと思っています」
「Rough Rock’n Roll Boogie」山崎まさよし
「月明かりに照らされて」(1995)収録。「デビューシングルのカップリングに入っている楽曲です。この曲はギターの弾き語りで、なおかつレコーディング現場では一発録りで録音しました。そうした制作スタイルが、今現在の自分のライブの在り方の原型になっているし、僕の原点のひとつと言える曲だと思います」
中学3年の時にやった新聞配達を
皮切りに始まったいくつものバイト経験。
働くことの意味を身体で知れたことが
今の自分を形成したと思う
山崎まさよし
一九七一年滋賀県生まれ。一九九五年に「月明かりに照らされて」でデビュー。全国を回るライブツアーを精力的に行いながら、数々の作品を発表し続けている。二〇二〇年にデビュー二十五周年を迎えた。
501® ORIGINAL
今回着用した501®は、通称ビッグEと呼ばれるビンテージデニム。TYPEⅢトラッカージャケットの古着とともに、以前ステージで着用していたもので、
今回はそれぞれ久々の着用となった。トラッカージャケットの背中にある蝶のグラフィックが印象的だ。
衣装クレジット
Tシャツ¥7,700/Levi's® Made & Crafted®、スウェットシャツ¥16,500/ Levi's® Vintage Clothing(リーバイ・ストラウス ジャパン:0120-099-501)
Levi's® TYPEⅢトラッカージャケット (USED)、Levi's® 501® (USED)
Credit
PHOTOGRAPHY: INOHARA YU
STYLING:MIYAZAKI MADOKA
HAIR & MAKE:SHIMA TETSURO
TEXT:SWITCH