特別掲載Vol.1

LEVIʼS®
MONTHLY
MUSICIAN

LEVIʼS®MONTHLY
MUSICIAN

collaborated with SWITCH

KREVA

ただ前を見て歩き続ける

2004年のソロデビュー以来、メジャーフィールドにおいて
日本のヒップホップシーンをリードし続けてきたKREVA。
その表現の原点にある変わらない思いとは?

1873年5月20日―― すべてのジーンズのオリジン(原点)であるLevi’s®︎ 501®︎が誕生したその日からまもなく150年を迎えようとしている。その記念すべき2023年に向け、自身の確固たる“スタイル”を持ち作品を生み出し続けているミュージシャンをフィーチャーしたSWITCHマガジンによる特別連載企画。SWITCH Vol.40 No.3から転載 ( http://www.switch-pub.co.jp )

変わらない自分の資質

「501®を穿くのは久しぶりでしたけど、ちょっとびっくりしました。『あれ、こんなに穿きやすかったっけ?』って。自分の中で501®とはこういうもの、というイメージがあったんだけど、いい意味でそれを覆されたというか。これだけスタンダードな存在として知られているんだから、何も変える必要はないんじゃないかと思ってしまうけれど、ちゃんと今の時代に合ったスタイルを取り入れている。それは凄いことだと思うし、ものづくりにおいて大事なマインドだと感じました。 自分にとって最初の501®は高校の終わりか大学の始めぐらい。海外のアウトレットや古着の501®をたくさん並べているショップがあって、そこで見つけた一本がすごくしっくり来たんです。しばらくそればかり穿いてましたね。普段着る服って、その日の気分によって選ぶものもあるけれど、ジーンズに関してはもはや気分も何も関係ないくらい自分にとって自然なもので、常にラインナップに入っています。これまで一体何本通ってきてるんだろう、というくらい穿いてきました」

本連載のタイトル「STYLE OF ORIGIN」に倣い、KREVAの表現におけるスタイルの“原点”を訊ねると、「ちょっと話を大きく捉え過ぎかもしれないですけど……」と前置きしてこう続けた。 「そもそも持って生まれた気質のようなもの、それが俺のスタイルの原点なんだと思います。小さい頃からみんなの前に立ってアジテートする、先導していくことが性に合っているというか、常に学級委員や生徒会を率先してやってきて。小四の時なんて、東京に転校してきたその学期にもう学級委員長をやっていましたからね。あと最近で言えばマンションの自治会長をやったり(笑)。 音楽活動でも、自分の現場は当然自分がリーダーシップを取らなきゃいけないですけど、たとえばフェスに出る時でも、バックステージ含め自分から場を盛り上げていくようにしています。自分の役割を見つけて、率先して声を出すという気質が元々備わっていたんですね。とにかく大きな声を出してみんなの先頭に立つということが好きなんだと。だからこの仕事はぴったりなんじゃないですかね。マイクを使って大勢の人に自分の声を届けられますから」

言葉の力を信じ続ける

そんなKREVAが届ける声=言葉のチョイスには、デビュー以来一貫してブレることのない表現者としての姿勢が感じられる。 「昔から俺は物事をネガティブに捉えがちな人間なので、敢えて逆の思い、こういう発想をすればそれさえもポジティブに捉えられるんじゃないか、という切り口で歌詞を書いてきたところがあると思います。だから結果的にすごく前向きな人間だと見られているかもしれないですね」 コロナ禍で制作された最新作『LOOP END / LOOP START』でも、 KREVAのそうした思いはより研ぎ澄まされた形となり、フレーズの端々に宿っている。
「ライブもスタジオでのレコーディングもできなくなって、一時はさすがに参ってしまったし、本当にエグいなと思うことばかりでしたけど、そんな状況でも自分が得ることのできた学びや気づきをなるべく歌詞に落とし込んでいったつもりです。何かに文句を言ったり、怒りの感情を前面に出したりするのではなくて、自分の中でこうありたい、こうなれたらいいなと思うことを自分に向けて言っている。“言霊”じゃないけれど、言葉の力を信じて、前向きなことを歌っていきたいという思いは強くあったかもしれません。
それに、自分の音楽を聴いてくれる人たちの顔をたくさん見てきたことで、自分の言葉も少しずつ変化してきたような気がしています。昔、ソロデビューした頃は週末にクラブのレギュラーイベントがあって、その場の光景がすべてだったから、言葉も自ずとそこから生まれてきた。でも次第にステージが大きくなっていって、小さな子供を肩車しているお客さんがいたり、家族で揃って来てくれたり、こういう人たちが俺の音楽を聴いてくれているんだというのを見れば見るほど、“いい言葉”を届けたいという思いが強くなっていった。プラス、自分が親になったことも大きいと思います」 かつてKREVAはそんな目の前の若きオーディエンスを「希望」と表現していた。だからこそ、その希望を信じて言葉を紡ぎ続けると。
「そうありたいと願いつつも、言葉悪いですけどね、うちの娘たちは(笑)。普段、俺の口が悪いからかもしれないですけど」

STYLE OF ORIGIN

「音色」KREVA

2004年9月08日(クレバの日)にリリースされたKREVAソロ名義によるメジャーデビューシングル。「まだリリースも何も決まっていない状況だったけれど、どうしてもこの歌を形にしたいという思いに突き動かされるように、自分でスタジオを予約して制作に入りました。この歌がなければ今の自分はない、そのくらい大事な曲です」

アーティストが自らの楽曲で“原点”となったナンバーは、SPOTIFYのLevi’s® Japanの公式アカウントのプレイリストでお楽しみいただけます。

THE MOMENT THAT CHANGED EVERYTHING わたしを変えたモーメント

19の時、30万円のサンプラーを
自分で買おうとしたら、ローンを組むために
楽器屋さんから親に電話させられた瞬間

KREVA

KREVA 1976年生まれ、東京都江戸川区育ち。2004年「音色」でソロメジャーデビューを果たす。最新アルバム『LOOP END / LOOP START(Deluxe Edition)』が現在発売中。 www.kreva.biz

501® Slim Taper/
Levi's® Authorized Vintage Jacket

501® Slim Taperは501®オリジナルをベースに膝下部分をスリム&テーパードシルエットに仕立てられている。合わせたジャケットは、リーバイス®自らが80〜90年代の古着を中心に買い取り、物によってはリペア&カスタマイズを施した公式のユーズドラインより。

Credit

PHOTOGRAPHY / MOVIE: INOHARA YU
TEXT: SWITCH
STYLING: FUJIMOTO DAISUKE
HAIR & MAKE-UP: YUKI AI

人生を変えたモーメント