INTERVIEW #02

角舘 健悟

ミュージシャン

Yogee New Waves ギター・ヴォーカル担当。2013年活動開始。2014年4月にデビューEP『CLIMAX NIGHT e.p.』をリリース。以降1stアルバム『PARAISO』(2014)、2ndアルバム『WAVES』(2017)ほかリリースを重ねると同時に、全国の大型野外フェスに多数出演するなど、注目を集める。今年3月には、メジャーデビューとなる新作「SPRING CAVE e.p.」もリリースされた。
http://yogeenewwaves.tokyo

ヨギー・ニュー・ウェーブス
角舘健悟が501®そして
デニムジャケットに込めた“想い”

1873年5月20日に誕生したブルージーンズ。そのブルージーンズの代名詞であるリーバイス®の501®は「じぶんを表現する自由なキャンバス」として、世界中の人々に愛され続けている。そのブルージーンズのバースデーを記念し、「じぶんをカスタマイズする」というテーマのもと、各界で活躍するクリエイターがリーバイス®マスターテーラーと共に、自分だけの501®やデニムアイテムを制作するシリーズ企画。第2回目は、今年3月に、リーバイス®のテーラーショップを取り上げたテレビ番組『セブンルール』(関西テレビ)でナレーターも務めている、ヨギー・ニュー・ウェーブスの角舘健悟が登場。今回「新しい自分を見てみたかった」と語る角舘が501®、そしてデニムジャケットに込めた“想い”とは。 photo: Kentaro Matsumoto(interview)
hair & make-up: Takuma Suga
text: Kohei Onuki

カスタマイズサービスを担当するマスターテーラーとともに、501®とデニムジャケットのカスタムの打合せ。


ステージ上でも、
よくジーンズを穿くようになりました


── 今回、リーバイス®のテーラーショップのカスタマイズサービスで、角舘さんだけの501®とデニムジャケットを作ってもらいましたが、ご自身では普段からリーバイス®のジーンズを穿きますか。

角舘 「もともとはジーンズよりスラックスを穿くことの方が多かったんですけれど、2年前に誕生日プレゼントでリーバイス®のジーンズをもらってから、ステージ上でも、普段の生活でも、よくジーンズを穿くようになりました。最近は、江ノ島の古着屋で購入した90年代の501®をよく穿いていて、お店で見つけた時点で結構ボロボロだったんですけれど、いい色落ちで、サイズ感もぴったりで」

── 今回、ジーンズは、リジッドの1955モデルをセレクトされましたが、この一本を選んだ理由を教えてください。

角舘 「リジッドで穿いてみたいものとして、この1955モデルを選びました。太めのシルエットで、パキッとしているのも格好いいなって。ほかの501®も穿いてみて、正直色々悩んだんですけれど、あのエルヴィス・プレスリーも穿いていたジーンズを復刻したものだ、というストーリーをリーバイス®の方に聞いて、このモデルに決めました。実は学生時代に初めて買ったレコードがエルヴィスの作品だったんですよ。僕は普段、アメカジっぽいものより、ヨーロッパっぽいシルエットの服を着ることが多いんですけれど、アメリカの象徴的存在のエルヴィスも穿いていた、という“ザ・アメリカ!!”という感じがする1955モデルを穿いてみたら、シルエットも格好いいな、と」

── ジーンズを選んでカスタムする際、シルエットや丈感にもこだわっていましたね。

角舘 「このリジッドの501®は洗いをかけると結構縮みが出ると、マスターテーラーの方に教えてもらい、丈感にはすごく気を使いました。まずはノンウォッシュで穿いて、この無骨なシルエットを楽しんで、その後にワンウォッシュをしようかな、と考えています。ノンウォッシュとワンウォッシュ、両方で楽しむことを考えて、サイジングや丈感を選びました」

── ジーンズに合わせてカスタマイズするジャケットには、最初期のデニムジャケットを元にしたトリプルプリーツブラウスを選びましたね。

角舘 「普段はTYPE Ⅲのデニムジャケットを愛用しているんですけれど、この型は見たことがなくて、格好いいなって。TYPE Ⅰよりさらに昔のデニムジャケットが元になっているそうなのですが、古臭くもないし、現代的な感じもして。正直TYPE ⅠやTYPE Ⅱとも悩んだんですけれど、TYPE ⅠやTYPE Ⅱと選んだ501®の1955モデルを合わせたときに無骨な感じが強くなって、それもまた格好いいんですけれど、少しヨーロッパ古着のような雰囲気もあるこのジャケットの方が自分らしいかなって」
 

今回カスタマイズした501®の1955モデルとトリプルプリーツブラウスを着て。


モノに対する愛着が湧いてくる


── そのトリプルプリーツブラウスにいくつかのカスタマイズが施されていますが、まずポケットの糸かがりについて教えてもらえますか。

角舘 「白と青の二色の糸かがりは、結成当初からいまに至るまでのバンドのメンバー、そして密接につながっているスタッフを表現したもので、全部で8本。片方のポケットに糸かがりを入れたのは、これから先、バンドが成長して、関わってくれる人たちが増えたらいいな、という思いも込めていて。将来的に糸かがりを増やせる余地、というか可能性を残してみました」

── バンドマンらしい、そして素敵な発想ですね。ちなみに、糸かがりを白と青にしたのには、何か理由があるんですか。

角舘 「これはバンド名の“Waves”から白波をイメージして、白と青の糸にしてみました。青い糸にもいろいろ種類があったんですけれど、この原色に近い青を選んだのは、この色がいまのヨギーのイメージに合うような気がして。昔なら、バンドのイメージを色に例えると、もう少し淡い感じの色だったと思うんですけれど」

── それは昔といまでバンドの音楽性に変化があった、ということですか。

角舘 「そうですね。このバンドを始めてからなんだかんだ5年くらい続いているんですけれど、初めのころは、当時でいうチルウェーヴって言われていて、幽玄的でリラクシングな音楽性だったので、そうしたテイストを色に例えるとしたら淡い感じの色なのかなって。けれど、バンドを続けて、ライブも重ねていくたびに、より直線的で、クリアな音楽性になってきて。そうしたいまのヨギーのイメージが原色に近い青と合うような気がしたんですね」

── そして、襟元には、“Wave(波)”の刺繍が入っていますね。

角舘 「はじめは、“Yogee”か“Waves”か、文字の刺繍を入ようかな、とも考えたんですけれど、目に見える部分だからこそ意味が出過ぎてしまうよりは抽象的なイメージの方がいいかなって。それで、波の刺繍を入れてもらいました」

── 唯一文字で刺繍が入っているのは、襟の内側ですね。これは角舘さんのイニシャルですね。

角舘 「そうですね、“K.K.”と。亡くなったじいちゃんからもらった服があるんですけれど、だいたい襟の内側に“角舘”と苗字の刺繍が入っているんですよ。名前が入っているとモノに対する愛着が湧いてくるし、それがすごく素敵だなって以前から思っていたんです。昔の人たちのモノを大切に扱う考え方や愛着が現れている気がして、それで僕もイニシャルの刺繍を入れてもらいました」

── リーバイス®のジーンズもデニムジャケットも、長く身に付けることを前提としたプロダクトじゃないですか。いまの時代において、ファストファッションのデニムとは全く違う、長く着られるプロダクトとしての価値がリーバイス®のデニムにはありますよね。

角舘 「そう思いますね。今回カスタマイズしたデニムジャケットや501®も、クタクタになるまで身につけて、そうしたらまた別の刺繍やカスタムもしたくなると思うんです。今回、初めは、背中に大きく目立つカスタマイズをやろうかな、とも考えたんですけれど、正直少し気後れしちゃいまして(笑)。けれども、カスタマイズも後から考えればいいやって。それは長く着続けることを前提にしているからなんですよね」
 

デニムジャケットに施したカスタム。糸かがりや刺繍に角舘の思いが込められている。


新しい自分を見てみたかった


── 145年前の5月20日にブルージーンズ︎が誕生して以来、ジーンズは「自分を表現する自由なキャンバス」として世界中の人々に愛されてきたわけですけれど、角舘さんにとっての「自己表現のあり方」とは、どのようなものですか?

角舘 「うーん。“変わること”、“変われること”ですかね。新しい自分になれることは生きていることの喜びにつながる、と思っていて、それが僕なりの自己表現のあり方ですかね。今回のデニムのカスタマイズで、これまであまりしてこなかったアメカジに走ってみたのも、新しい自分を見てみたかった、という気持ちもあるんですよ」

── もちろんミュージシャンとしても変化を厭わない人でありたい。

角舘 「そうありたいですね。自分が積み上げてきたものを壊すことは、やっぱり少し怖いですけれど。 音楽を作っている本人が一番作品への愛情が強いですし。けれども、時代と共に変化しないといけない、というのはきっとあると思うので、面白がっていたいですね、変化を」

── そういう意味では、リーバイス®のジーンズもプロダクトとしてのコアを残しながら、時代と共に変化してきたからこそ、長く人々に愛されている、と言えますよね。

角舘 「そうですね。どんな時代においてもファッションの一端になっているんだろうなって。過去の色々な写真を見ていても、リーバイス®のジーンズを穿いていない人がいない。それはきっと、変わらないことや絶対に譲らないことがある一方で、時代に合わせてリーバイス®のジーンズが変化してきたからなんだと思うんです。それってすごく格好いいことですよね」
 

今回角舘が選んだジーンズは501®の1955モデル。 “ザ・アメリカ!!”というシルエットに魅せられた、とのこと

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